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「蛇蠱」
 

ある地方に伝わる、蛇の憑き物筋と憑いた蛇のことを蛇蠱(へびみこ)と言います。この蛇は、蛇蠱の家筋の者が憎いと思った相手の内臓に食い入って死に至らしめるほどの力を持つのですが……さて、恋をしてそれが叶わぬと分かったとき人は恋しいはずの相手を憎いと思ってしまうことがあります……これだけで、この楽曲で描かれる悲劇が想像できてしまったことでしょう。恋しい相手を殺めてしまうという意味では「道成寺蛇ノ獄」と共通するテーマであると言えますが、決定的に違うのは「道成寺蛇ノ獄」の清姫は明かな殺意を持って行為に及んだのに対し、この曲のヒロインはただ「憎い」と思っただけなのにも関わらず、特殊な境遇がゆえに悲劇が起こってしまいます。「殺人」と「過失致死」ですから、似ているようでまったく違う話ですね。蛇蠱自体の伝承は実在のものですが、上記の恋をして〜というくだりからはもちろん僕の創作です。

躍動するリズムに透明感のあるギター、そして情感溢れる黒猫の歌が心地好いほどに狂おしい、そんな楽曲に仕上っています。歌詞の韻を踏んだ部分のまとまり方と機能性もなかなかの出来ではないでしょうか。



| 楽曲解説 | 17:03