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「蜩」

 

“ひぐらしは夏の終わりを想起させることから秋の季語になっている蝉ですが、確かに、どんなときに聴いてもあの鳴き声にはもの悲しさや寂しさを感じさせる響きがあります。その響きと、盛んなる時期をに例えるという前提で捉えたを想うということ。さらに秋を意識することでやがて来る冬(終わり)に想いを馳せること。そこにある無常の念をそのまま楽曲にしてみました。未だ人生が春の段階にある方やまさに夏真っ盛りと言える方よりも、僕と同じようにそろそろ秋を迎え入れなければならない、という方に共感していただけそうな内容ですが、どのような段階にある方にも、季節は必ず過ぎゆくということを想ってみていただければ幸いです。

阿部さんによる空気を編むような繊細でしっとりしたピアノをバックに、黒猫の歌がまさにその無常の念を切々と歌い上げており、叙情的かつ普遍的な趣を持ったこの楽曲のテーマを見事に歌へと昇華させています。最初の一言目を発するときの気持ちの入れ方にすべてをかけたとは黒猫本人の言葉ですが、まさにそれは成功しており、歌い出しの声がまとう空気がこの曲のひぐらし感を完成させていると思います。



| 楽曲解説 | 16:37